治療のながれ

(1)初診 → (2)問診 → (3)カウンセリング → (4)治療計画の立案 → (5)治療

問診では状態を確認いたします。その後、必要なカウンセリングを実施し、治療方針を決定し、ご説明いたします。

ペリネイタル ビジット(周産期小児科訪問)とは

ペレネイタル ビジット(出生前小児科訪問)が最初に使われ、その後ペリネイタル ビジット(周産期小児科訪問)へと言葉が変わってきました。適当な日本語訳がありませんが、この様に言われています。

 出産を控えた妊婦さんが出産前に小児科を訪れて、出生後の赤ちゃんを診てくれる小児科医と今後のことについて話し合う機会を設けましょうと言うものです。話の内容は、小児科医それぞれによってまちまちです。大切なのは、出産前に今後お子さんが病気になった時に診てもらう小児科の先生と親御さんが知りあえる事です。

 当院は、今の所、宇津野医院との診診連携で小児科からの胎児診断、新生児回診、管理、母乳育児に取り組んでいます。

赤ちゃんは、何事もなく出産されることが一番ですが、時には小児科医(特に新生児科医)の出番が必要になることがあります。簡単な事ならば、私一人でも何とかなりますが、時にはNICU(新生児集中治療室)が必要になることがあります。胎児エコーで病気が疑われるときには、母胎搬送(赤ちゃんが生まれる前に母親と共に)をお願いすることもあります。そのほうが、出生後すぐに治療を開始することが出来、母児共に安全だからです。現在、NICUもベットが足りません。筑波大学だけでなく時には、日立、水戸などの病院にお願いすることもあります。これも現在の課題でしょうか。

 最近、日常の診療を通して、少しずつながらペリネタル ビジットの考え方が広まり始めて居ることを感じます。出産前後の些細なことで、母時共に安全に出産に望める事は、産科医、小児科医が少ない現在非常に良いことだと思います。

夜間診療

茨城の西南地区は4年前に”茨城西南地区小児二次救急輪番制”が茨城西南医療センター病院を中心に作られました。当時は、茨城西南医療センター病院を始めとし、友愛記念病院、猿島赤十字病院(現古河赤十字病院)、湖南病院と4つの医療機関での協力で始まりました。その後、猿島赤十字病院の小児科の閉鎖に始まり、1年前に私が湖南病院から友愛記念病院に移った事で湖南病院が抜け、現在は西南医療センター病院と友愛記念病院の2カ所で部分的ながら頑張っています。当クリニックでは、これに参加する資格がありませんが、この地域での小児医療を考え、何かできることはないかと考え、筑波メディカルセンター病院小児科市川先生のご厚意で8月から筑波メディカルセンター病院での夜間診療に参加することにしました。今の所、月1回木曜日の夜間になります。

よくある疾患についてのご説明

様々な疾患・症状について簡単に解説しています。

※下記の症状は一例です。ご自身で判断せずにかならず受診し、正式な診断を受けるようにしてください。

気管支ぜんそく

病気は、時代の流れとともに、研究が進み、その病態が解明されるに従って病名自体も変わります。

気管支喘息は、古い本には、突然起きる呼気性の呼吸困難発作で、一般的には喘鳴、咳を伴い、反復すると定義されています。

最近のお子さんを診ていますと、基本的には、病態は一緒でⅠ型のアレルギー反応ですが、原因からいくつかのタイプに分かれと思います。

アレルゲンを吸入する事により発症する場合、上気道の感染により発症する場合、気管支の未熟性が原因の場合等です。また、精神的な事が誘因となって起きる場合もあります。気圧が関係する人もありますが、気圧の値自体には関係なく、周りの比べて気圧が低い場合に起きるような印象があります。

発作時の治療は、一緒ですが、非発作時(発作が起きていないとき)の治療は、人により変わって来ます。発作時には、吸入の他に点滴が必要になります。気管支拡張剤は、最近けいれんとの因果関係があると言われ始めてから、5歳以下には使わないことが多いようです。その代わりに、ステロイドが使われます。ステロイドも以前に比べて使い易くなりました。

治療は、人により様々ですので主治医の治療を続けることが大切です。

ヘルパンギーナ

主に口の中に丘疹、水疱、潰瘍を作る病気で、手足口病と同様に乳幼児に多い、夏かぜの代表的な病気です。原因は、主にコクサッキーA群のウィルスですが、他のエンテロウィルスによってもなります。潜伏期間は、数日から約1週間程度で、感染経路は飛沫感染です。手足口病と同様に糞便中にもウィルスは排泄されますが、感染源となるのは、咽頭からのウィルスが中心ですので発症後数日とされています。治療方法は、特異的なものはなく、対症療法が中心となります。症状は、発熱(39℃以上)、咽頭痛、嚥下痛が主なものです。特に小さいお子さんでは、のどの痛みで食欲が無くなり、よだれが多くなります。発熱期間は、数日程度が多いので、この間は、喉越しの良いものを与えるようにしましょう。

麻疹

麻疹は感染力が非常に強く、重症な場合には肺炎や脳炎を合併することもある病気です。また、特に乳児や成人では重篤になりやすいので注意が必要です。予防には、麻疹ワクチンの接種が有効です。1歳時と小学校就学前1年間は予防接種法による定期接種、それ以外は任意接種となります。

はしか

はしかは、予防接種で予防できますが、接種率が問題となります。

茨城では、平成13年11月25日の日本小児科学会茨城地方会で、”麻疹予防接種率100%をめざして”というタイトルで特別企画が開催されました。当時”日本外来小児科学会の取り組みと県西の現況”というタイトルで発表の依頼がありましたので、下妻市、八千代町、石下町、下館市などの現状を調査して発表しました。当時も問題になったのは、接種率の低さでした。予防接種をしていても、周りに未接種のお子さんがいると、罹ってしまうことがあります。それを防ぐには、2回接種が効果的であると結論づけられ、現在は、1歳から2歳までに1回、就学時前に1回と2回接種が採用されるに至りました。

様々な事情で接種できなかったお子さんは、自費での接種になりますが、是非接種することをお勧めいたします。

現在の麻疹の流行は、いろいろな要因が考えられますが、20歳前後の人達の流行で、当時のことを考えるとMMRワクチンへの移行時期で一部未接種者がいたことや、その後2回接種が採用されて、麻疹の不顕性感染の機会が無くなり、抗体を維持出来なかった事などが考えられます。

流行性結膜炎

原因はウィルスでアデノ ウィルス8型による感染で発症します。学校では、プールで感染することが多く、これから夏休みに向かい感染のチャンスが多くなりますので注意してください。潜伏期間は1週間以上で、プールの水、手指、タオルを介して接触感染することが多いと言われています。症状は、急性濾胞性結膜炎を呈し、眼瞼の腫脹、異物感、眼脂があり、偽膜を伴うことが多く注意を要します。治療は、対症療法しかなく、予防は、手洗いと接触感染を防ぐためにタオルは専用とすることが大切です。

プール熱

発熱、結膜炎、咽頭炎を主症状とする病気でプールを介して流行することが多いので、プール熱とも言われています。原因は、ウィルスで主にアデノ ウィルス3型が主流でありますが、その他の型でも発病すると言われています。潜伏期間は5日前後で飛沫感染が主流であり、プールでは、結膜からの感染もあります。症状は、高熱(40℃前後)、咽頭痛、頭痛、食欲不振を訴える事が多く、これらの症状が3日から7日間続くと言われています。幼児期から学童期に多く、時に大人も感染することがあります。治療は、対処療法が中心で、場合によっては眼科的治療も必要となることがあります。主要症状が無くなってから2日経過すると感染源にならないと言われています。

手足口病

手足口病は、その名前の通り口腔粘膜及び四肢末端に水疱を生じる発疹性の病気です。原因は、主としてコクサッキーウィルス A16型とエンテロウィルス 71型の感染です。潜伏期間は数日から約1週間程度で主に飛沫感染です。好発年齢は、乳幼児に多く(大人でも感染することがあります。)、原因となるウィルスが複数あるために再発する事が多く、治療方法は、対症療法で、特異的な治療方法はありません。症状は、発熱、口の中の痛みを伴う水疱(口内炎)と手足やおしりの発疹、水疱が主体です。手足の水疱は、皮膚の比較的深いところに出来るために、水痘(みずぼうそう)と異なり、破れることはなく消えます。発熱は、38℃程度で、期間は、普通数日程度です。ウィルスは、便の中にも排泄されますが、普通は感染力が強くないので、全身状態が安定すれば感染源になるとは考えにくいと言われています。出席停止の病気ですが、感染経路の殆どは、咽頭でのウィルスの増殖期間中の飛沫感染ですので、全身状態が安定すれば登校は可能です。